男子バレーボール部インタビュー

VOICE東大運動部 第5弾!

今回の主人公は、部員生活最後のリーグ戦をひかえた、男子バレー部アナリストの森口舜さん。

森口さんの4年間の歩みに沿ってインタビューを進めていく。

 

東大の試合中 ベンチでデータを取りつつ采配を振るう

東大の試合中
ベンチでデータを取りつつ采配を振るう

 

Part 1 アナリストになる

 

―バレー経験は?

高校からバレーを始めて、3年間セッターをしました。

自分で言うのもなんですが、下手ではなかったと自負しています笑

 

―大学でプレーヤーをするつもりは?

大学でもバレーを続けたいと思っていました。

大学でやるからには、勝利を目指して戦いたかったし、自分を高めたかったので、部活に入ることに決めました。

 

―はじめはプレーヤーになるつもりで部活に入った?

そうですね。

ただ、4年間プレーすることには一抹の不安があったのは事実です。それに、同じポジションにうまい先輩がいたので、プレーで貢献するには時間がかかるとも感じていました。

アナリストという役割があることを知ったのは、そんな時でした。

 

―アナリストのどこに魅力を感じた?

アナリストは、高校にはない、分析担当のポジションでした。

当時3年の先輩から話を聞くとおもしろそうだったので、新しいことにチャレンジしてみようと思いました。

 

 

Part 2 アナリストのすること

 

―ずばり、アナリストの仕事って?

アナリストの役割は、大きく3つのフェーズに分けられます。

・データを取る;スカウティング、

・データをもとに分析する;アナライジング、

・分析を選手やコーチ、監督に伝える;プレゼンテーション

です。

 

―どんなデータを集めるの?

基本的に、すべてのボールタッチです。

9m×18mのコートのどこで、12人いる中のどのプレーヤーが、どんなプレーをしたか、をひたすらパソコンに打ち込みます。

 

―具体的には?

例えばサーブは、何番の選手が、どこから、どこに、どんなサーブを打ったかを記録します。どこから打つかはエンドラインを5分割、どこに打つかはコートを45分割して、コースを表現します。

レセプションは誰がどのくらいうまくレシーブしたか、トスだったらクイックを打つセンタープレーヤーがどんなクイックに入っていたか、アタックは誰がどんなトスをどんなコースで打ったか、といった感じです。

 

―分析はどうやるの?

Data Volleyというソフトを使っています。

データをこのソフトにインプットすれば、さまざまな分析を行ってくれます。

選手ごとのレセプションの成功率や、アタックの決定率、打ったアタックのコース、ローテーションごとのサイドアウト率(サーブを受ける側が得点すること)などなどです。

 

―試合ではどんな役割がある?

試合の前には、対戦相手のデータを取って分析し、作戦を立てます。

作戦が立ったらプレーヤーと対策ミーティングを行い、相談しながら方針を決めます。

試合中は、リアルタイムでデータを取り、新たな作戦やベンチワークの提案をします。

試合が終わると、その試合での東大の分析をチームで共有し、プレーヤーにフィードバックします。

 

 

Part 3 セカンドアナリストとして

 

―アナリストになってすぐは何をしていた?

アナリストの仕事は、データを集めないことには始まりません。

部活の時間も家に帰ってからも、ひたすらタッチタイピングでデータを取る練習をしました。

 

―チームに貢献できるようになったのはいつ頃?

アナリストの先輩と、8月に開催される七大戦を1つのテーマにしようと話していました。七大戦は4日間で6試合を戦うというハードスケジュールなため、先輩一人で分析をするには限界があったからです。

実際、七大戦の時には、東大が戦う試合のデータをリアルタイムで取り、ベンチに入っている先輩を通じてリアルタイムで分析を還元することができました。個人的にはその点、チームに貢献できたと思っています。

 

―七大戦ののちの試合の貢献度合いは?

バレー部では春と秋にリーグ戦があり、5試合を戦うのですが、その一部の対策を分担させてもらいました。

先輩や監督と意見交換しながら作戦を立てたのですが、大きな役割を請け負わせてもらっているとは感じていました。

 

―苦労はあった?

後輩だし、バレー経験も3年だけだし、アタッカーの経験はないし、というので、対策ミーティングなどで言ったことがイマイチ心に響いてないと感じることはありました。

一方で、先輩がやさしく受け止めてくださったとも感じています。

プレーしていると保守的になりがちなのですが、アナリストの意見を外からの新鮮な意見として取り入れてくださいました。

 

他大学の試合中 ギャラリーでデータを取る

他大学の試合中
ギャラリーでデータを取る

 

Tea break プロの世界へ~

 

―プロのチームで分析をしたこともあるとか?

2年の春にFC東京、3年の春にJTEKTにそれぞれ帯同しました。

この時期に黒鷲旗という大会があるのですが、そこでプロのサポートをしました。

 

―アマチュアがプロに呼ばれるのはよくあること?

アナリストは人口が少なく、慢性定期に人材不足なので、そこそこのアナリストはプロに呼ばれます。

僕がセミナー等に参加して人脈を広げていたこともあり、プロの方からお誘いをいただきました。

 

―学ぶことはあった?

プロの分析の仕方や作戦の伝え方は、学ぶところが大きかったです。

プロとしての試合への臨み方や試合にかける思いも、印象に残っています。

トレーナーも含めてチーム全体で試合に向き合う姿勢からも多くを感じました。

JTEKTは僕が帯同した年に準優勝したので、決勝戦を間近で見ることもできました。

 

―特に印象に残っていることは?

JTEKTに帯同したときの、エースのカジースキの姿です。

カジースキは準々決勝で捻挫し、ドクターストップがかかりました。

それで準決勝は抜けたのですが、決勝は自分が出て試合を決めたいと強く主張して出場し、結果的に大会で一番の成績の活躍を見せました。

チームは負けてしまったのですが、プロの意地や勝利にかける思いを強く感じました。

 

JTECTに帯同し準優勝した際の写真 森口さんは2列目の右手

JTEKTに帯同し準優勝した際の写真
森口さんは2列目の右手

 

Part 4 先輩の引退

 

2年の秋にアナリストの先輩が引退し、立場は変わった?

2年ながら、最上級生から直接アナリストとしての意見を求められる立場になりました。

首脳とも意見交換するので、責任も重くなりました。

 

―ぶつかったりすることは?

プロに帯同したりしてバレーに関する考え方を養っていたこともあり、どうしても意見が合わないと感じる部分もありました。

 

―うまく妥協することができた?

プレーヤーの意見を最大限尊重するべきだし、最終的にプレーするのはプレーヤーなのですが、チームの一員として勝ちを目指す中で、自分としてどうしても納得できない部分がかなり多くなりました。

これは、2年程度の間で感じたことのない類の経験で、すごく葛藤しました。

結局、3年の春のリーグ戦が終わったタイミングで、休部することにしました。

 

―春リーグで何かあった?

春リーグやその前の定期戦の中で、チームの方針が自分の考えと合わない、納得のできる部活を送れないと感じる場面が多くありました。

自分が間違っていると思えるのなら修正すればよいのですが、どうしてもそうは思えなかったので、時間が欲しく、休部しました。

 

―休部中はどう過ごした?

個人的に好きなので、バレーの動画を見たりはしていました。

ですが、復部するつもりはあまりなかったし、先のことを考えて休部したわけでもなかったので、部活の方に積極的に関わるようなことはありませんでした。

 

 

Part 5 ファーストアナリストへ

 

―最上級生になる3年の秋に復部したきっかけは?

現主将から力を貸してほしい、必要だと思っているから帰ってきてほしいと言われたことです。

アナリストとして役に立てないなら帰る意味はないと思っていたのですが、そう言われて考えた末、心を決めました。

 

―新しい首脳とはうまくやれた?

甘えもあるのですが、最上級生になったからこそ言いやすい面はありました。

下級生の立場から首脳に物申すのは難しかったですが、同級生だから自分の思ったことをフランクにぶつけられるようになりました。

 

―チームの勝利に貢献できた?

個人的に大きいと思っているのは、僕が帰ってきて初めての公式戦の一橋との定期戦です。

僕も事前に一橋大学さんのデータを取っていたので、コーチや主将と相談して、思い切った戦術を採りました。

レフトからのスパイクに極端に偏重しているチームで、しかも低く速いトスだったので、常にレフトに2人のブロッカーをつけることにしました。

普通ならアタッカー1人に対してブロッカー1人がつくのですが、相手のアタッカーが前衛に3人いても2人のブロッカーがレフトにつくということで、バレー界では基本的に取らない戦術でした。

不安ではありましたが、結果的に東大のペースで試合を進めることができました。

個人的にやりがいのある試合でした。

 

―アナリストで勝ったといっても過言ではない?

みんながどういってくれるかわからないですが、コートの中のプレーヤーが一番貢献しているのは事実です。

今のバレー部は、ベンチに入れない人もスタッフも含めて全体でどう勝ちにいくかを意識できているのがいいところです。その一翼になれていれば幸いです。

 

―その後の試合は?

春のリーグ戦では、分析がうまく追い付かず、いい戦術を立ててプレーヤーに伝えることができませんでした。試合中もベンチに入っていたのですが、プレーヤーをうまく鼓舞することもできず、あまりいい結果を残せませんでした。

七大戦では、コーチと主将との3人で意見を合わせ、プレーヤーに説明しながら進めることができ、2位という成績を残すことができました。詰めが甘かった試合もありましたが、反省を生かせたのではないかと思います。

 

―七大戦でうまくできた要因は?

説明するときのわかりやすさにこだわれたことです。

膨大な分析を取捨選択して何を伝えるか、そしてどう伝えるかは、今でも考えていることなのですが、これがうまくできたのだと思っています。

 

 

Part 6 終わりに

 

―アナリストに大事なことは?

個人的に一番大事だと思っているのは、データを取る技術や、戦術を立てる際の着眼点などではなく、選手やチームスタッフとのコミュニケーション能力です。

自分が言うことすべてが完璧ではない中で、選手やコーチの意見を聞き入れながら戦術を作っていくというのは、すごく意識しています。

そういったところは、アナリストに限らずチームスタッフにとって大切なことだと思っています。

 

―アナリストのやりがいは?

自分の分析が生きようが生きまいが、試合に勝った時です。

うちの主将が、「チームスタッフは勝たないと浮かばれない、勝ってこそ恩返しができる」と言っているのですが、それは言ってもらってありがたいと思っています。

勝つために自分は全力を尽くしているし、だからこそ勝った時の喜びはひとしおなのではないかと思います。

 

―秋リーグへの意気込みを!

引退の大会でもあるので、目標は全勝して3部に戻ることしかないと思っています。

そういった中で、チームに恩返しできればと思っています。3年以上お世話になり、成長させてもらった場でもあるので、自分の持っている力を出し切って、チームの勝利に貢献したいと思います。

 

球出しをする森口さん

 

 

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インタビューから1カ月、グループリーグを終えた男子バレー部の結果は32敗。他大学の試合を待ちつつもグループ2位または3位が確定している。全勝して3部に戻るという目標は、残念ながら叶えられなかった。

(2019年10月23日 UP)