新入生の皆さん、入学おめでとう。わたくしも、この4月から第29代東京大学総長として皆さんと共に多くの時間を過ごすことになります。皆さんが東京大学の一員となり、これから4年間の大学生活が実り多いものであることを心から祈念します。
皆さんが東京大学に入学するまでの道のりを察するに、人生の中で最も多くの時間を勉強に費やしたのではないでしょうか。勉強に打ち込むということは相当の集中力を要するものですが、何かをやり遂げたという達成感はかなりのものがあったと思います。この集中力と達成感を求めて、これからの学業に打ち込むことは大いに歓迎するところです。
しかし、集中力と達成感を得る場は学業だけではありません。それはスポーツです。東京大学というと、日本の最高学府というイメージが先行していますが、実はスポーツも盛んに行われています。東京大学には大学を代表する運動部が46部もあり、それぞれに意義ある活動を行なっています。皆さんはこれまでにいろいろなスポーツを経験してきたと思いますが、この入学を機に、ぜひ運動部に入ることをお勧めします。当初は経験の差で大きなレベルの違いを感じることもあるかと思いますが、その差を少しでも縮めようとひたむきに努力を続けることにより、いつの間にか対等に渡り合えるようになるのです。
また、同時に人生においてかけがえのない大切な仲間を得るはずです。大いなる志を持った仲間が一丸となって突き進んでいく姿は、お互いを信じ合う心、固い団結力があってこそのものと確信しています。スポーツをする目的は勝敗を決するためだけではありません。スポーツを通して、お互いを尊重し理解する心、困難に直面しても決して屈しない強い心を学ぶのです。その心を学んだものはそれぞれ別々の道に進んでも、大きな達成感と未来への大いなる活力に満ち溢れていることでしょう。皆さんには、大学4年間の間に、固い絆で結ばれたかけがえのない友人を持っていただきたいと思います。
