「新型コロナウイルスと大学スポーツ」特集 第1弾 ア式蹴球部

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、その影響は大学スポーツにも表れています。試合や対面練習ができなくなり、今までとは異なる形での活動を迫られているのです。

この企画では、現在のイレギュラーな状況下で、東大運動部員たちがどのような思いでどのような活動に取り組んでいるのか、特集していきます。

 

1弾はア式蹴球部です。マネージャーを務める4年生の佐原由香さんにお話を伺いました!

 

さはらマネージャー2

ア式蹴球部4年 佐原由香さん

 

部活動への影響

―ア式蹴球部として、初めに新型コロナウイルスの影響を感じたのはいつでしたか?

2月上旬からかなり対策をして、体調の報告や手洗いうがいを徹底していました。私立大学は早くから課外活動が禁止になっていたようで、練習試合を断られることも増えてきて、3月上旬には下旬に開催予定だったトーナメント戦が1ヵ月以上延期されることが決まりました。

 

―大会の延期は大きいですね。ア式蹴球部の練習についてはいかがでしょう。

試合から逆算して組んでいたトレーニング計画が狂ってしまいましたね。そこで、調整のために3月下旬に1週間オフを設けました。そうしたら、オフ期間の間に大学から課外活動中止要請が出てしまって…そのままずっと自粛が続いている状況です。本チャンのリーグ戦も、無期限延期になってしまいました。

 

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3/26に東京大学が課外活動の中止を要請しました。

 

ア式蹴球部員の思い

―それは大変ですね…。こういう状況になって、率直にどう感じましたか。

それはもう、悔しかったです。というのも、今年はチームがすごく良く仕上がっていたんです。試合への期待感も大きかっただけに、これがぶった切られるのは本当に悔しいです。

新型コロナウイルスが終息すれば、リーグ戦は秋冬にかかってでも実施されるかもしれませんが、私は4年生なのでいつ引退になるかも分からないですし…。

 

―やりきれないですね。そんな中で、部員の方々はどんな思いで活動しているんでしょうか。

まずは生き延びることを目標にしています。

 

―生き延びるですか!詳しく教えて下さい。

この状況でモチベーションを維持するのは無理だろうって、監督が公言したんです(笑) 実際、不安の多いこの時期に、コンディションやモチベーションを高く維持するのには、めちゃくちゃ体力を使います。部員みんなの気持ちが張り詰めた中で、再延期が決まったりしたら、心が折れちゃいますよね。だからもう、モチベの維持は諦めて、とにかく生き延びようってなったんです。

 

 取材中

今回の取材もZoomで行いました。

 

オンラインで精力的に活動中

―いつ終息するか分からない中、ゆとりを持つことは大事ですよね。では、今はどんな活動をしているのか、具体的に教えて下さい。

トレーニング計画を担当しているフィジカル班が筋トレメニューを作ってくれていて、家で筋トレしたり、可能な人はランニングしたりしています。ただ、基本は選手に丸投げですね。

 

―Zoomで合同トレーニングをしている部活もあるようですが、ア式はしていないんですか?

案は出ました。でも、やはり精神的な負荷もかかってしまうので、合同トレなどはせず、ゆるくやっていくことになりました。選手同士でビデオ通話を繋いで一緒にトレーニングしている人はいるみたいです。

 

試合中

試合中の一幕

 

―佐原さんはマネージャーですが、運営的な面ではいかがでしょう。

ア式は、選手も含めて全員が運営に関わっているんですが、今はミーティングをバンバンやっています(笑)やっぱり、プレーできなくなった分、それ以外の運営に目が向きやすいんだと思います。部内規律の見直しなど、今だから本腰を入れて取り組める活動もあります。

 

―普段は手の届きにくい部分にも取り組める時間ができたんですね。新歓についてはいかがでしょうか。3月末から、対面の新歓活動が全学的に中止になっていますよね。

サッカー経験者の新入生と連絡を取り合ったりする中で、入部してくれた学生は結構います。ただ、やはり例年の部員数よりは少ないのと、サッカー未経験者のスタッフが全然入部してくれていないですね。私は新入部員と直接会ったことはないんですが、オンラインで自己紹介会やレク会をして交流しています。

 

―ア式蹴球部は以前から文京区の子どもたちに向けたサッカースクールにも取り組んでいると伺いましたが、こちらはどうですか?

3月末から中断していたんですが、4月には部員がYoutuberになって毎週2本ずつ動画投稿を始めました(笑)5月に入ってからは、Zoomを使ったサッカースクールも始めました。とはいっても、画面を見ながら部屋の中でサッカーをするのは大変なので、クイズ大会をしたり、丸めた靴下でリフティングしてもらったりと、試行錯誤しながらやっています。身体を動かしたいっていう需要があるみたいで、なかなか好評です。部員もだんだんYoutuber化というか、画面に向かって喋るのが上手くなってきました(笑)

 

さはらYoutuber

Youtuberの佐原さん

 

こどもたち2

Zoomを使ったサッカースクールの様子

 

サッカーを全力で楽しみたい

―ありがとうございます。試行錯誤しながら、今できることに力を注いでいる様子が、よく分かりました!

―このようなイレギュラーな事態を経て、サッカーに対する思いに、なにか変化はありましたか。

活動自粛を要請される中で感じたのは、「私たちが情熱を燃やしているスポーツは不要不急なんだな」という悲しさでした。

でもみんな、サッカーが楽しいから、今まで続けてきたんです。活動が解禁されたら、「やっぱりサッカーって楽しい!」という気持ちを全力で感じていきたいです。

もちろん、プレーすることだけがサッカーではありません。今やっている、オンラインで組織を良くしていく活動もサッカーの一部です。この両方の楽しさを自分から獲りにいくつもりで頑張っていきたいと思っています。

 

―佐原さんとして、引退までの目標はありますか?

試合運営長として、リーグ戦のハーフタイムに、イチ公とのPK対決を企画したくて(笑)それが終わるまでは引退できないですね。

早く新型コロナウイルスが終息して、サッカーやリーグ戦に全力で挑めるのを、心待ちにしています

 

取材中2

 

―ありがとうございました!

 


 

 

今回の取材の中で見えてきたのは、悔しさを抱えながらも、ゆとりや明るさを失わずに頑張り続けるア式蹴球部員の強さでした。サッカーへの想いを持ち続け、組織運営など今できることに全力を注ぐ姿に勇気づけられました!

 

大学スポーツでは今、試合や全体練習がなくなり、部活の外から見える活動がどうしても減ってしまっています。しかし、部員たちは今も全力でスポーツに取り組んでいます。頑張る部員たちを応援していただけると嬉しいです。

そして、活動解禁後には、試合に足を運んで、みんなで大学スポーツを一層盛り上げていきましょう!

 

「新型コロナウイルスと大学スポーツ」特集は、今後も様々な部活を取り上げていく予定です。次回もお楽しみに!

(2020年5月14日 UP)